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執筆者の写真k.nuisach

【徹底解説】ベトナムで起こる不正事例のプロセスと原因とは?ベトナムビジネスに潜むリスクと解決策をご紹介

更新日:2024年12月11日


ベトナムでの事業運営において、企業内不正は避けて通れない課題の一つです。ベトナムにおいて不正がどのように始まり、どのようなプロセスを経て発覚するのか、その背景には組織の構造や文化、そして管理体制の問題が深く関係しています。


本記事では、不正の原因や進行過程を具体例を交えながら解説し、企業が不正を防ぐための具体的な施策と、健全な組織運営を実現するためのヒントをご紹介します。


【目次】



不正の起こるプロセスと原因

不正のきっかけ/原因 → 不正の温床 → 不正の常態化 → 不正の表面化(不正発覚)

ベトナムにおける不正問題は規模の大小を問わず、上記のようなプロセスで進行するケースがほとんどです。まず、不正のきっかけや原因が生じ、それが1人から2人へ、さらに部署全体に広がり、やがて社内で「本社や現地日本人管理者だけが知らない」という状況が常態化します。


その後、ある一定のレベルに達すると、外部の指摘や組織改革を契機に「不正」として発覚します。具体的な例としては以下が挙げられます。


  • 会計事務所や監査会社からの指摘

  • 経営再建のために外部コンサルタントが介入

  • 本社から立て直し役が派遣される など


不正が本社や日本人管理者に認識されるのは、多くの場合、最終段階である「表面化」した時点です。その時点では既に問題が長期間放置され、根深くなっていることが一般的です。たとえば、


  • 不正を防ぐ仕組みが社内にない

  • 業務が属人化している

  • 現地日本人管理者が担当者の業務内容を十分に把握していない


といったような状況が続く場合に、「不正」が常態化する可能性が高まります。


不正の原因

不正の原因は、「人に関わる要因」と「社内の仕組みや環境による要因」の2つに大別されます。


1.人に関わる要因


スタッフ関連

特別扱いされるスタッフとそうでないスタッフが存在することで社内に不公平感が生じ、内部不満が蓄積します。


  • 日本語が話せるスタッフだけが優先的に昇給する

  • 日本人管理者のお気に入りスタッフだけが、異常に高い昇給率や特別待遇を受ける(例:出退勤における優遇)


現地管理者

現地管理者が無意識に不正の原因や温床を作り出しているケースがあります。

  • 日本で管理経験がない場合、トップとしての意識が低い

  • 本社の監視下から離れた場所になるため、不正行為が発生しやすい


2.仕組みと環境

  • 社内ルールが不整備である

  • 一部の人にだけ甘い不公平なルールが存在する

  • 問題を解決する担当者が不在で、問題が蓄積され続ける


など、社内のルールや仕組みが不正を招きやすい状態である場合、

不正は簡単に起こります。


具体例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 部外者が容易に会社内に侵入できる

  • 会社の物品が簡単に持ち出される

  • 会社の資金が管理者の確認や承認なしに支払われる仕組みになっている


不正の特長


少しずつ大きくなる不正

重大な不正の前には、それに結び付くような小さな出来事がいくつも発生しています。社内で不正が起こる際には、何らかの不満や問題点が背景にあり、それが徐々に蓄積していきます。不正を働く人は、会社が自分たちの行為を見ていないこと、誰も気づいていないことを確認しながら、その行為を徐々にエスカレートさせていきます。


例えば、最初は調達先が誤って発行した請求書に対する誤送金、退職済みのスタッフに対する人事部の記載ミスによる給与払い、または経理担当者の処理ミスによる二重払いといった小さな出来事かもしれません。しかし、こうした偶然や些細なミスが積み重なることで、不正行為は「味をしめた」形でエスカレートし、徐々に大きく深刻化していきます。


厳しい環境下では育たない不正

不正を働く人々は、簡単に利益や見返りを得ることを期待しています。そのため、厳しい管理体制が敷かれ、全ての業務をきちんと監視する管理者が現れると、自然に退職するケースが多いです。不正が疑われる場合やその噂が聞こえる際には、厳格な管理者を1年程度派遣することが有効です。この対策は、通常1年ほどで効果を発揮します。


また、その派遣された管理者が社内で高い地位にあり、従業員の解雇権限を持っている場合には、さらに効果が期待できます。ただし、こうした対応を実施する際には、会社として不正への対応方針を明確に定め、本社と十分に合意を取った上で実行しなければ、派遣された管理者が困難に直面する可能性があります。この点を事前に調整することが重要です。


どこでも起こりうる不正。ただしベトナムならではの事情も


不正はベトナムに限らず、日本でも発生しています。例えば、現場で道具が紛失する、営業スタッフが会社のクレジットカードを私的に使用して購入を行う、といった事例も少なくありません。日本が清廉潔白な国だと思いたいかもしれませんが、不正は国や地域を問わず起こり得る問題であり、これは万国共通の現象といえます。


しかしながら、ベトナム特有の事情により、不正が発生しやすい状況が存在するのも事実です。日本と異なる点としては、ベトナム特有の文化・環境が存在します。


1.ベトナムの経済状況と賃金格差

経済発展が進むベトナムでは、地域による収入格差が顕著です。田舎では月給が130~150ドル程度であるのに対し、ホーチミンやハノイの都市部ではその10倍以上の給与を得ることも可能です。ホーチミンには高層ビルやマンション、大型商業施設が立ち並び、ECサイトや交通手段(LCCやバス)を通じてモノやサービスが容易に手に入る環境があります。


このような利便性に溢れた環境では、「楽にお金を得られる手段」を確保し、それをさらに拡大したいと考えるのは自然な心理といえます。


2.属人化と誰も見ていない仕事環境

ベトナム人のリーダーや管理者の仕事内容を誰がどのように把握しているでしょうか?多くの企業では、業務が滞りなく回っている限り問題視されないことが一般的です。この状況は、日本でのリモートワークにおける「見られていない環境下での責任感の希薄化」と本質的に同じ問題だと考えられます。


3.ベトナムにおける贈り物と縦社会文化

ベトナムには、日本と同様に贈り物を贈る文化があります(例:中秋節や旧正月など)。また、縦社会文化が根付いており、上司や権限を持つ人が特別な地位を持つ傾向があります。複雑な問題を解決する際や特別な対応を依頼する際には、こうした文化が非常に重要であり、正当な手続きの裏で非公式のルートが存在することもあります。


これらの背景を踏まえると、日本人から見て「あり得ない」「不正は絶対悪だ」と思える事象も、場所や環境が変われば発生する可能性が高まるのは自然なことです。不正を正当化するわけではありませんが、その背景や文化を理解することで、問題への適切な対応を考えることが重要です。


ベトナムの工場での不正事例(工場・事務所・現地管理者)


本章では、ベトナムの工場で起こり得る不正事例をご紹介します。内容は盗難、業者からのキックバック、会社の私物化など、多岐にわたります。ベトナムで仕事をされている方なら、一度はどこかで聞いたことのある内容が含まれているかもしれません。


工場で起こる不正事例


  • 小さな道工具の盗難

  • 廃材の持ち出し

    • 裏の空き地に廃材を放置し、退社後に回収する。

  • 物々交換

    • 隣の工場のジュース売りと会社の物品を交換する。

  • 廃材の不正処理

    • 段ボール回収時に鉄の廃材を混ぜて持ち出す。

  • 材料の窃盗

    • 判断力の乏しいワーカーをそそのかし、会社から材料を盗ませる。

  • スクラップ業者との共謀

    • 廃材やスクラップ業者と手を組み、キックバックを受け取る(例:計量器の操作)。

  • 警備員との結託

    • 従業員と警備員が共謀し、夜間に鋼材を盗む。

  • メンテナンスの不正

    • メンテナンス会社と共謀し、不要なメンテナンスを繰り返してキックバックを得る。

  • ボンベの過剰提供

    • 必要以上のボンベを業者に提供させ、通常の2〜3倍の請求を行い、業者からマージンを受け取る。

  • 残業代の水増し請求


事務所で起こる不正事例

また、事務所内で起こりうる不正にも、以下のようなものが挙げられます。


  • 昼食費の着服

    • 昼食用食材費として前払いしていた金銭が消える。

  • キックバック付き業者選定

    • 特定業者を継続利用し、価格交渉を行わずキックバックを受け取る。

  • 輸送通関費の不明瞭化

    • 輸送通関業者から請求書を分割して受け取り、1回の輸出入コストを曖昧にする。

  • 派遣費用の不正請求

    • 勤務実態のない派遣労働者分も含めた派遣費用を業者に請求させ、キックバックを受け取る。

  • 会社のマイクロバスの無断使用

    • 自社運転手が会社所有の車両を無断で使用する。


現地管理者の不正事例

不正はベトナム人社員に起因するものだけではありません。現地管理者が無意識のうちに不正に関与していることもしばしばあります。これらは、日本でも有名な大手企業でも実際に発生した不正事例が含まれています。


  • 会社資金の持ち出し

    • 会社の現金を不正に持ち出す。

  • 個人貸付の作成

    • 会社名義で個人貸付を行い、決算書に記載する。

  • 秘書の私用利用

    • 非契約時間帯でも秘書を私用に利用する。

  • 会社の私物化

    • 友人との国内旅行を「出張」として計上する。

    • 友人との食事を「会食」として会社経費に計上する。

    • 友人家族のビザ申請や給与支払いを会社負担にする。

  • 社用車の私的利用

    • 休日や祝日関係なく、管理者用社用車を私的に利用する。

  • 給与の不正操作

    • 自身の給与を本社に無断で増額または改変する。

  • 勤務態度の不正

    • 出勤しない、または途中退社を繰り返す(理由は誰も知らない)。


これらの不正事例は、社内の管理体制や運営環境の見直しが必要であることを示しています。特に、監視の目が行き届かない環境では、不正が発生しやすい傾向にあります。適切な対策を講じ、リスクを最小限に抑えることが重要です。


不正の温床は、現地管理者の行動に委ねられている


現地管理者の責任者としての意識

会社のトップである現地管理者は、常に全従業員から見られています。そのため、自分の発言や行動に矛盾が生じていないか、誰よりも厳しく自分を律する必要があります。


例えば、遅刻を厳しく禁止し、従業員が1分でも遅れると30分分の給与が差し引かれるようなルールを設けている会社があるとします。この場合、現地管理者自身もそのルールをきちんと守っているでしょうか。また、工場の清掃に対して現地管理者が「どうしてこんなに汚いんだ!」と怒る一方で、箒を持ったり、ゴミを拾う姿を誰も見たことがない、ということはないでしょうか。さらに、「敷地内は歩きタバコ厳禁」と徹底して指導しながらも、工場を出た途端に歩きタバコやポイ捨てをしている、ということがあれば、それは従業員に悪影響を与えます。


従業員は現地管理者に直接「言っていることとやっていることが違う」と文句を言うことはほとんどありません。しかし、こうした矛盾が少しずつ組織全体を歪め、「上のポジションであれば何をしても許される」という風潮を作り出してしまいます。管理者は、自身の一挙手一投足が常に従業員から注視されていることを肝に銘じる必要があります。


現地管理者の会社のお金に対する意識

お金に関して、現地管理者は特に、会社経費の線引きを明確にしておかなければなりません。そうでないと、従業員から「自分たちには不正を許さないと言いながら、管理者自身が会社を私物化している」と思われてしまいかねません。

筆者の経験からも、経費について、たとえば本社との間で経費の範囲を明確に文書化していないケースが多く見受けられます。

  • 会食代を会社経費とする場合、月いくらまで許容するのか

  • 現地管理者の住居に関する費用をどこまで会社負担とするのか

  • 有給休暇の扱い

  • 一時帰国時の空港までのタクシー代を自己負担とするか会社負担とするか


これらは一見小さな問題に見えるかもしれませんが、現地スタッフにとっては大きな関心事です。特に、現地スタッフの給与に比べると、これらの経費は非常に大きな金額となります。組織の方向性を決めるトップとして、これらの問題に細心の注意を払う必要があります。


不正に対する経営判断


不正が何らかのタイミングで発覚した場合、会社としてどのような判断を下すべきかは非常に悩ましい問題です。明確な証拠が不足し、判断材料が限られる中でも、迅速に対応する必要があります。以下の2つのアプローチが考えられます。


1.厳しく対処する(減給や解雇など)

厳格な対応は、経営者にとっても従業員にとっても分かりやすい判断であり、会社として毅然とした姿勢を示すために重要です。具体的な対応策としては、以下のようなものが挙げられます。


  • 就業規則や社内規定に基づき、労働法に則った処分方法を明記する。

  • 問題発生時には人事部を交えて、文書による注意や警告を実施する。

  • 重大な不正や複数人が関与した場合は、上部労働組合や地域警察と連携して対応する。


2. 目をつむる(=何もしない)

一方で、不正を犯した人物を処罰せずにそのまま放置する選択肢もあります。しかし、この場合には以下の問題が生じます。


  • 線引きの曖昧さ

    • どこまでの不正を許容するかが不明確になり、不正行為がエスカレートする可能性が高い。

  • 組織への影響

    • 一生懸命働いても昇給するのは不正を行ったり経営陣に気に入られた者だけ、という風潮が広がる。

    • 意欲を失った優秀な従業員が退職することで、長期的に組織の成長が阻害される。


会社が利益を優先して重要ポジションにいる者の不正を見過ごすことも一つの経営判断と言えるかもしれません。しかし、不正を許すことで組織の未来をどう築いていくのか、という視点が欠かせません。また、不正が許される会社においては、優秀な人材が育つことが難しくなります。


経営判断の重要性

不正に対する対応は多くのエネルギーを要し、後回しにしたくなることもあります。しかし、対応を怠れば、他の従業員から「会社は不正を容認している」と捉えられる可能性があります。そのため、会社としての方針が「厳しく対処する」場合には、迅速な対応が求められます。


ベトナムで不正を防ぐ方法


ベトナムで不正を防ぐには、以下の基本的な考え方に基づいた対策が必要です。


  • 会社としての方向性を明確にする

  • 不正の温床を作らせない


具体的には、以下のような対策が挙げられます。

1. 会社の方針と責任者

  • 従業員に会社方針を明確に示す。

  • 現地管理者が方向性を示す役割を担う。

  • 現地管理者の教育を徹底する。

  • 「自分に厳しく」という意識を現地管理者自身が持つ。              

2. 人に関する対策

  • 重要ポジションに適した人材を選ぶ。

  • 重要ポジションの業務をブラックボックス化しない。

  • 業務内容を文書化し、リストとして明確にする。

  • 重要ポジションの人材に対する評価制度を導入する。               

3. 仕組みと環境づくり

  • 会社方針に基づいた分かりやすいルールを作成し、維持する。          

不正の原因や責任を追及する前に、本社や現地責任者はどのような措置を取ってきたのか、取っていたのか、取っていなかったのか、という点が大前提となります。


調達部門においては、例えば業者からの空請求を防ぐためには、請求内容を管理者が直接確認するプロセスを導入することが必要です。対策としては、調達業務が特定の担当者に依存し属人的になるのを防ぐため、初期段階から明確な調達規定を整備し、それに基づいた運用を徹底することが効果的です。


また、調達内容について、日本国内の事例や過去のデータ、類似プロジェクトとの比較を行い、異常値や不自然な動きを早期に発見できるようにすることも可能かと思います。さらに、販管費の固定費推移をデータ化し、異常値が発生した際に即座に対応できる監視体制を整えることで、費用管理の透明性を高めることができます。


一方で、調達や経理といった金銭管理を扱う部門には、信頼できる適切な人材を配置することが必須です。初期段階から慎重に選定した人材を採用することで、不正の起きにくい組織基盤を構築することができます。


不正防止のためには、現地管理者が「現地のトップ」としての自覚を持ち、厳格な経営判断を下すことが求められます。経営者自身が会社方針を徹底し、従業員に模範を示すことが、不正防止の鍵となります。


どうしても費用化できない支出への対応

会社経費として計上しにくい支出(例えば、女性社員の少ない企業でベトナム女性の日に贈るスタッフへのプレゼント、業務改善のための試験的な購入品、あるいは個人の支払いか会社経費か判断に迷うような支出)は、現地管理者の給与に含める形が最も適切だと考えます。この方法には個人所得税や社会保険料の負担増といったデメリットがありますが、それでも内部不満や不正の温床を作り出すリスクを防ぐという点で、遥かに有効な手段と言えるでしょう。                          

また、お金の管理や使い方に対する正しい意識を学ぶ機会が少ない中では、「上の立場にある人間はお金を自由に使っても構わない」という誤解が広まりがちです。その結果、不正の温床が生まれ、誰もその状況を指摘しないまま放置されると、管理者自身が「裸の王様」状態に陥る可能性があります。

本社から頻繁に現地に行くことの限界

本社の社長や部門長が、2〜3日の短期滞在を2〜3週間に1回の頻度で繰り返しても、不正を見抜くのは難しいでしょう。もし現地の動きすべてを完全に把握しているのであれば別ですが、異国の地で日本と同じ感覚で仕事をしても、実際に誰が何をしているかを十分に理解することはできません。


さらに、出張中の現地スタッフの態度もまた一つの問題です。本社からの訪問期間中、スタッフは嵐が通り過ぎるのをじっと待つような姿勢になることが少なくありません。中には、社長がベトナムに来るときだけ出社し、それ以外の日は出社すらしないマネージャーが存在する可能性もあります。


「自分が現地に行けば問題が解決する」と考える経営者も多いかもしれません。しかし、1年や2年、そのような訪問を続けた結果、果たして現地は改善されているでしょうか。不正が完全になくなったという報告を聞いたことがあるでしょうか。不明瞭な経費が減少し、親会社からの短期借入が減り、長期借入の返済が順調に進み、製品の利益率が向上していると感じるでしょうか。


恐らく、多くの場合、これらの問いへの答えは「NO」でしょう。つまり、いくら頻繁にベトナムを訪問し、航空券代や宿泊費、時間を費やしても、現地の問題改善に直結するわけではありません。


現地での実効性のある改善策を講じるには、単なる短期的な訪問ではなく、持続可能な取り組みが求められます。


本社側で改善する方法


ベトナム出張の前日に事前の準備と現場での確認を徹底することが重要です。出張の前日までに各部門の担当者から詳細な報告資料を提出させ、その内容をもとに現地到着後すぐに現場の確認を行い、報告書に記載された気になる点について現場で説明を求める形式(人員、調達、製品、営業、経理、輸出入など全ての部門を対象とする)を取るとよいでしょう。


この形式を採用する場合、本社からの指示を現地で具体的に実行する専任担当者を雇用し、各部門へのタスク管理を行う役割を担わせるのが良いと思われます。


ただし、この取り組みが現地の業務負担を増やすようであれば、経営者自身が最低2週間、場合によっては1ヶ月現地に滞在し、全体の動きを直接確認する必要があります。現地スタッフが日々どのような業務に取り組んでいるのかを自分の目で見て初めて、現実の問題点が明確になります。現場を見ずに間接的な情報だけに頼ると、見えるべきものが見えないままになる恐れがあります。


また、ベトナム訪問時には、移動や食事を含めた全ての準備を経営者自身で行うことをお勧めします。これは、「お客様」として現地を訪問するのではなく、現状を確認し、改善点を探るための訪問であることを明確にするためです。現地スタッフのサポートを受けずに行動することで、不要な気遣いを減らし、依存的な関係性を排除できます。その結果、現実の課題や問題点が見えやすくなります。


さらに、自分のタイミングで好きなときに現地工場を訪問し、現場の状況を確認できる体制を整えることが、本当に望まれている形ではないでしょうか。


外部に頼る選択肢

上記の方法を試してもなお改善が難しいと感じた場合は、厳格で信頼できる専門家やコンサルタントを探すことをお薦めします。その際、耳が痛い現実を指摘してくれる専門家でなければ、十分な効果を得ることは難しいでしょう。というのも、現実問題として、通常の方法では解決が難しい状況に直面しているケースが多いためです。さらに、単なるアドバイスにとどまらず、実際に現場で手を動かし、一緒に改善に取り組んでくれる専門家を選ぶことが重要です。


また、現地責任者に責任を追及しても、状況を改善する効果はほとんど期待できません。多くの場合、現地管理者には現地での管理経験が不足しており、何をどう始めればよいのかわからない状況にあることが少なくありません。さらに、経営者や管理者としての意識が未成熟な場合や、現地で支援が得られず行き詰まっているケースも見受けられます。こうした場合には、現地管理者の働き方や仕事に対する考え方を面談で確認し、現状の問題点を把握することが有効です。


本社が現地の実情を把握しておらず、現地管理者が本社の期待を正しく理解していないといった、双方の認識ギャップが原因で問題が平行線を辿るケースも多く見られます。このような場合、第三者である外部コンサルタントなどに客観的に状況を分析してもらい、改善策を講じることが適切です。


さらに、本社には現地管理者に対する将来的な期待があることが多いでしょう。例えば、幹部として育成し、本社の海外展開事業を担ってもらいたいという願望です。このような期待を抱える本社と、それに応えたいと考える現地管理者の双方が満足できるよう尽力してくれる専門家を選ぶことが、最善の結果を生む鍵となるでしょう。


不正の無い会社を目指すには


利益を追求する企業にとって、「不正のない会社」を実現することは最も重要な目標の一つです。良い製品を作り、品質を確保するためのルールを策定し、適切な手順でお客様の求める品質のものを提供する。このサイクルを守ることで、お客様の満足度が向上し、次の受注や良い評判へと繋がります。


一方、不正行為を考える人が多い会社では、いかに楽をして会社から利益を得るかに集中するため、品質の向上や改善には繋がりません。結果的に、製品やサービスの質が低下し、顧客の信頼を失うことになります。


適切な製品を提供し続けることで、会社の利益は増加し、社員に給与や賞与、福利厚生といった形で還元されます。このような還元が可能な企業文化を築くことで、社員もやりがいを感じ、さらに努力するようになります。この良循環のサイクルが、不正防止にも繋がるのです。


しかし、厳しいだけで給与や賞与が上がらない場合、従業員はより条件の良い外資系企業などに流れていってしまうでしょう。一方で、利益が出なければ社員還元ができず、昇給や賞与にも反映できません。その結果、法令順守のローカル優良企業以上の価値を提供できない状況に陥る可能性があります。


このような事態を避けるためにも、自社がベトナム現地で何を目指すのか、そのビジョンを明確にすることが重要です。


まとめ


今回、不正の観点からお話しましたが、最終的にはお客様の求めるものをきちんと作り、提供するためのルール作りが必要です。このルールは“不正”や“不正の原因”を防ぐだけでなく、会社の目指す方向性に合わせて、公平に評価される仕組みや、社員が気持ちよく働ける環境、還元される制度を作る基盤にもなります。


こうした仕組みやルールが整備されることで、会社の成長を支える原動力となり、さらなる規模拡大や他国への事業展開における大きな資産ともなるでしょう。


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